鉄フライパンで餃子を焼く方法——くっつく理由と対処法

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 蒸し水を入れる前、餃子はくっついてない。

鉄フライパンでタンパク質を焼くのには慣れていた。
だから、餃子も同じように焼けるだろうと思っていた。

冷凍餃子を解凍し、余分な粉を落とすために皮を水で洗った。

完全にくっついた。

その後、餃子を70個焼いて気付いたことがある。

餃子を上手く焼く上で重要なのは4つ。
予熱、油、水分管理、適切な道具。


4つのポイント

鉄フライパンで調理する時の基本は盾——食材がフライパンに直接結合しない状態を作ること。予熱と油がその役割を担う。

餃子の場合はこれに加えて、盾を維持する水分管理と、接着面を断ち切る矛——道具の選択が重要になる。


予熱+油——盾

十分に熱されたフライパンは、食材が触れた瞬間に表面を焼き固める。油は食材とフライパンの間に入り込み、直接接触を防ぐ。
これら2つが合わさって初めて盾として機能する。

予熱が足りないと表面が固まる前に結合し、油が少な過ぎると金属面が露出してくっつきやすくなる。


水分管理——盾を維持する

水分が多いとフライパンの温度が下がり、盾の機能が弱まる。
そのため、皮は乾いた状態のものを使い、蒸した後は蓋を取って水分を完全に飛ばした方が良い。


道具——矛

フライ返しの役割は、皮とフライパンの接合面に刃を滑り込ませて結合を断ち切ること。先端が薄く硬いほど少ない力で差し込める。

シリコンはしなる上に先端が鋭くない。
木は硬いが先端が厚く鈍い。
どちらも切れ味が不十分なため、接合面を突破出来ない。

唯一突破出来るのは、鋭く硬いステンレスフライ返しだ。


なぜ餃子は鉄フライパンにくっつくのか

餃子の皮は小麦粉で出来ている。

デンプンは熱と水分に晒されると糊化し、フライパンの表面に結合する。熱が加わると収縮してフライパンから剥がれるタンパク質とは逆に、デンプンは熱と水分を受ける程くっつきやすくなる。

実際、蒸し水を加える前は、餃子はくっついていなかった。
水分がフライパンに入った瞬間、くっつき始めた。
これで最初の失敗も納得出来る。皮を水で洗ったことで、調理を始める前から余分な水分が加わっていた。


焼き餃子はくっつけて剥がすプロセスがいる

焼き餃子のカリカリした食感は、デンプンの糊化によるものだ。
糊化したデンプンが水分を失って固まることで、パリッとした食感が生まれる。

つまり、くっつくこと自体は悪ではない。カリカリの素でもある。

ただし、密着の質が重要になる。

盾が機能した状態で蒸し水から糊化が始まる場合、皮とフライパンの間に焼き固まった層が出来ている。そのため、結合は表面的になり、水分が蒸発しきるとフライ返しで離せる位のくっつき具合になる。

一方、最初から皮が濡れている場合は盾の機能が弱まり、デンプンがフライパンの金属面に直接結合してしまう。
この状態で焼き固まると、フライ返しでも対処出来ないほど強固にくっついてしまう。

はっきりとは分からないが、そういうことが起きていると考えられる。  


皮の質感で難易度が変わる

2種類の生餃子を買い、それぞれ生と冷凍で焼き比べてみた。
同じ餃子なら、生と冷凍で結果は大きく変わらなかった。
しかし、餃子の種類によって難易度が全く違った。

水分が少なく弾力がある硬めの皮の餃子は簡単に焼けた。
少しくっついても、シリコンフライ返しで軽く押せば剥がれた。
皮も破れない。綺麗に仕上がった。

水分が少ない硬めの皮は、あまり打ち粉が付かない。

くっつきなし。破れなし。

一方、水分を多く含む柔らかい皮は難しかった。
端は剥がれるが、中央がフライパンにくっついたままで、剥がす際の圧力も皮を破る原因となった。

水分を多く含む柔らかい皮は、打ち粉が沢山付く。

中央が破れた

シリコンフライ返しでは、焼き固まった皮や羽根の下に入り込めない。

油を増やしてみた。
蒸し水を冷水から熱湯に変えてみた。
何も変わらなかった。

予熱・油・水分管理が整っていても、水分を多く含む柔らかい皮では最後の「剥がす」という行為が最大の難関になる。

ここで決め手になったのが道具——ステンレスフライ返しだった。

ステンレスのフライ返しなら、シリコンでは入り込めない場所にも滑り込める。力が分散されず、少ない抵抗で皮とフライパンの間に入り込めるので、外圧を最小限に出来る。

フライ返しを変えた途端、今までの苦戦は終焉を迎えた。

ステンレスのフライ返し。
皮や羽根の下に滑り込める。

シリコンのフライ返し。
しなって、皮や羽根の下に滑り込めない。


焼き方

フライパンを予熱する
煙が出る前まで熱する。薄ら煙が見えたら、少し火を弱める。

油を引く
フライパン全体に行き渡らせて少し余るくらいが目安。
26cmのフライパンで大さじ1/2〜1杯程度。
十分に予熱出来ていると、油はサラサラとよく広がる。使い込んでフライパンに油が馴染んでくると、必要な量も減っていく。

餃子を並べる
平らな面を下にして並べ、底面が薄く色付くまで焼く。
先に並べた餃子が焦げ付かないよう、ここでは少し火を弱めた方が安心。

水を加える
餃子の高さ1/4〜1/3程度になる量を入れる。
羽根つきにする場合は、水に片栗粉や小麦粉を少量混ぜる。

蓋をして蒸す
蓋をして、水分がほぼ蒸発するまで蒸し焼きにする。

蓋を取り、水分を飛ばす
パチパチと音がしてきたら蓋を取り、水分を完全に飛ばす。
羽根や餃子の端がきつね色になるまで焼く。この時、少量の油を追加するとカリカリが増すようだが、なくても良い。
火力は、中火〜弱火の方が安全——強火だと焦げやすい。

剥がして盛り付ける
皮や羽根の下に差し込み、フライ返しで丁寧に剥がす。


終わりに

最初はくっつかないように焼く方法を探っていた。
料理のプロなら出来るのかもしれない。
でも素人の私には難しかった。

だから、餃子はくっつく料理という前提で、予熱・油・水分管理で密着を最小限に留め、最後は道具に頼ることにした。

ステンレスのフライ返しに変えた途端、今まで苦戦していたのが嘘のように綺麗な餃子が出来た。完璧な方法ではないかもしれない。でも私には、これで十分だった。

鉄フライパンで焼いた餃子は、他のフライパンでは得られないような美味しさがある。

手間をかける価値はあると思う。

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